「I」メッセージと「YOU」メッセージ。
心理学を学んだことがあったり、人材育成や営業などに関する仕事をしたりしている人ならば
聞いたことがある言葉かもしれません。
もともとは、アメリカの心理学者トマス・ゴードンが提唱したものです。
簡単に言えば、「I(アイ)」メッセージとは、
英語の一人称「I(アイ)」からきており、「私」が主語になるメッセージのことです。
反対に、「YOU(ユー)」メッセージとは、
英語の二人称「YOU(ユー)」からきていて、「あなた」が主語になるメッセージのことです。
以下では、I(アイ)」メッセージをアイメッセージ、「YOU(ユー)」メッセージをユーメッセージとしています。
では、それぞれのメッセージの違いについて詳しく解説していきたいと思います。
図表的にまとめると、以下のようになります。
アイメッセージ | ユーメッセージ |
---|---|
横から | 上から |
感性的 | 理性的 |
提案的 | 命令的 |
主観的 | 客観的 |
以下で、もう少し詳しく説明します。
アイメッセージのメリット
アイメッセージは、「私はこう思うよ。」「私はこう感じたよ。」など、
自分の考えや思いを伝えることができます。
例えば、部下が何か仕事上のことで悩んでいる場面があったとします。
その時、上司が部下に伝える時に、
「あなたは〜をした方がいいよ」とユーメッセージを伝えると、上下関係もありますし、
命令のような力学が働いてしまいます。
言われた部下としても、萎縮してしまうかもしれませんし、時には反発してしまいたくなるかもしれません。
特に自分がイライラしたり、部下が失敗してしまったりする場面では、ユーメッセージを送りがちです。
一方で、アイメッセージならば、
「私は〜をした方がいいと思うよ」と、
単なる話を聞いて自分が感じた、思ったこととして伝えることで、
相手が責められた感じがせず、相手を傷つけずにメッセージを伝えることができます。
アイメッセージのデメリット
的確な指示を出すときは、ユーメッセージの方が効果的です。
例えば、何かのプロジェクトで役割を分担する時などは、
アイメッセージだと遠回しな表現になってしまうので、ユーメッセージの方が良いでしょう。
アイメッセージにもメリットとデメリットがあるので、
コミュニケーションの状況に応じて、切り替えて使うことが大切です。
子育て場面での、アイメッセージとユーメッセージ
学校などの教育機関とは違い、家庭ではユーメッセージの方が使用頻度が多いと思います。
なぜなら、ユーメッセージは的確な指示、必要な指導を出すことが多いからです。
仕事上では、ユーメッセージは信頼関係が構築されていないと、人間関係が悪化することがあります。
ですが、そういうことが起こらない(起こりづらい)特別な関係性が親子関係だと思います。
では、どのような時にアイメッセージが役立つか、いくつか場面を考えてみました。
1 子どもが失敗した時や悩んでいる時
子どもが失敗した時や悩んでいる時にアドバイスとして伝える際は有効かと思います。
例えば、学校や園から怒ったり、落ち込んだりして帰ってきた子に対して、
話を聞きながら、
「○○さんは、こう考えたんだと思うよ。」
「先生はこういうことと言いたかったんじゃないかな。」
などと伝えることができます。
2 兄弟ゲンカ
他には、兄弟でのケンカの仲裁です。
「お兄ちゃんは〜のことで嫌だったんだと私は思うよ」
「弟は〜のことで怒ったのだと私は思うよ。」など。
その後は、「じゃあ、お互い嫌だったことについては謝ろうよ。それでケンカは終わり。」
と言えば、ケンカも治るかもしれません。
もちろん、必要な指導(人格、命などに関する)では、
「あなた(おにいちゃん)が悪いよ。いけないよ。」などの場面もあり得るでしょう。
僕自身もそうですが、状況や相手に応じて、コミュニケーションでの会話のモードを切り替えるようになれるといいと思います。
わが子も話す量が増え、今後は生意気なことをいうこともあると思います。
わが子でさえ、自分とは異なる存在なので、相手に響く伝え方ができるようになりたいですね。