ちょっと前に、あるニュース記事を目にしました。↓
そこで今回は、
「合理的配慮」とはなんぞや、といったことを学校現場での経験を踏まえて
まとめていきたいと思います。
「合理的配慮について簡単に知りたい」
「合理的配慮ってどうするの」
といった方に読んでいただければと思います。
この「合理的配慮」は、
すでに公立学校の学校現場では平成28年(2016年)に導入されています。
もう8年も前なんですね!!
当時を思い返すと、校内の職員会議等や研修でよく「合理的配慮」という言葉を耳にしたものです。
今回2024年4月から民間でも義務化ということですが、
恥ずかしながら社会全体で義務化されていたわけではなかったこと今になってを知りました。
すでに公立学校現場では割と当たり前のようになってきているのかなと感じています。
「合理的配慮」とは
では、この「合理的配慮」とは何かとういうと、
すごく簡潔に言うと「対応」です。
例えば、黒板の文字がよく見えないという場合。
本人がメガネをする、板書の文字を大きくするなどユニバーサルデザインにするなどに加え、
「席を黒板の前にする」「ICT機器を使う」といった対応が考えられます。
その際にとても大切なのが、記事にも書いてあるように「建設的対話」です。
相手(学校現場で言えば、本人やその保護者)の気持ちを受け入れながら、
学校現場でできることを一緒に考えていきます。
当たり前ですが、「合理的配慮」といってもすべての要求や提案ができるわけではありません。
双方の折り合いが重要です。
上述の例で言えば、
勝手に黒板前の特別席を用意してしまうと、「差別だ」となってしまうかもしれませんし、
本人やその保護者が「席を黒板の真ん前にしろ」と言っても、その子が背が高くて、周りの人が見えなくなってしまう場合もあります。
また過度な要求は学校現場(設備面など学校で異なることも)でもできないことがあります。
同じ例で言えば、「個別に先生を配置して」などです。
教員が足りない状況もありますし、サポートスタッフといった方がいたとしても他の児童の対応もありますし常に配置できるわけではありません。
なので、繰り返しになりますが、「建設的な対話」が必要になります。
それぞれの場で、それぞれができることを話し合って決めていくことが「合理的配慮」につながります。
記事の例を引用すると、
「例えば、スーパーを訪れた視覚障害者から売り場の案内を求められた場合、混んでいて人手が足りず案内できないと拒むのではなく、話し合った上で、希望の商品を聞き取って渡したり、案内できる時間帯を伝えたりといった代替策が必要となる。」
といった代替対策を考えていく感じになります。
カスハラでもなく、差別でもなく。
合理的配慮は「甘えている」「ずるい」?
「宿題の量をその子だけ減らす」は「合理的配慮」でしょうか?
答えは、その子(人)によるです。
ある子だけが「宿題を少なくする」「ノートじゃなくてタブレットを使う」となると、
学校現場では「あの子だけずるい。」などと言った声が周りから聞こえてくることもあります。参考記事↓
こういったとき、ポイントとなるのは2つです。
第一に、本人や保護者と相談したうえで、特別な支援に関して理解教育を全体にもしていくことです。
インクルーシブな社会の実現のためにも重要です。
第二に、その子にとっての自分一人でできることと周りの人のサポートが必要なことの中間はどこかを考えることです。
様々な心理学的な理論はあると思いますが、ここでは、ヴィゴツキーの考えを紹介します。
ヴィゴツキーは「発達の最近接領域(zone of proximal development)」という考えを提示しています。
簡単に言うと、一人ではできないけど、周囲のサポートがあればできるといった領域で成長や発達が促されるということです。
この理論を参考にすると、
一人でガンガン勉強ができ、テストでも100点が取れるような子にとっては、宿題をすくなくするは甘えになるかもしれません。
反対に、読むことや書くことに時間がかかってしまう子にとっては、宿題の量を調整することは合理的配慮になると考えられます。
合理的配慮は「建設的な対話」が必要だと話しましたが、人それぞれできることできないことが異なります。
対話の中で、「それはできるだろ」と相手に思うこともでてくるかもしれません。
でも、自分とは異なる他者だということを踏まえ、まずは相手の気持ちを最後まで聞き、互いに尊重しながら中間領域を探っていくことが大切です。
時に時間のかかる場合もあるでしょう。
以上、「合理的配慮」について、まとめてみました。
もう4月も終わりですが、今月から民間企業でも義務化がされています。
参考になれば幸いです。
では、よいGWを。
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