この記事では、
「特別支援を受けられるところに進めた方がいいのか」
「特別支援学校・学級などは周囲の目が気になる」
といったことに悩まれている方に読んでいただけれたら幸いだと考えている。
目次
結論から言えば、
もし自分の子に何かしらの発達上の課題が見られたら、
早めに各種の特別支援教育を受けさせたいと思っている。
その理由を述べていきたい。
早めのほうがいい理由
子ども自身の抵抗感が少ない。
保育園、幼稚園、小学校低学年といった年齢の時は、まだ自分を客観的に見る力が高くない。
そのため、親目線というか親のエゴかもしれないが、特別支援への意向がしやすいと思う。
年齢が上がるにつれ、人間関係も形成され、友達の目が気になり出したり、仲の良い友だちと離れてしまったりすることに自分の考えを主張することがある。
そのことは決して悪いことでなく、成長の自然な形だが、
自分の子どもの気持ちを尊重したいという親の気持ちから、決断が難しくなってしまうこともある。
年齢が小さい頃の方が、子ども自身も楽しみながら、さまざまな支援を受けることができるし、その後の可能性が広がるように思う。
その後の人間関係、自己肯定感への影響
通常級か特別支援級かを悩む子の多くに、30〜40人の学級集団の中での学習や友だち関係に課題が見られる子が多い。
学級担任だけで、集団の中で一人の子にかけることができる時間にも限りがある。
ましてや家庭の教育観も多様化しているし、児童の実態も多様化しているのが現状だ。
学級集団の中で、学習についていけない、友だちとの関係もうまくいかないでは
学級の中に居場所はもとより自分は何もできないと自己肯定感が下がってしまう。
最悪の場合、二次障害を起こしてしまう場合もある。
それよりは、学級の人数が少なく教員数も多い中で、
個に合わせて学習するなどできることや楽しく関われた経験を多く積んでいった方がその後の成長にプラスになることが多いと考える。
もちろん、学級集団の中で学習についていってもらわないと大人になった時に困ると考える家庭もあるだろう。
その考えは否定しないが、
子ども自身にやればできる力があるのか、家庭での支援は責任を持ってできるのかという点を、各種機関に相談したり検査を受けたりする必要があると思う。
制度的に手続きに時間がかかる場合が多い
保護者と話す中で、学校教育の中で特別支援を受けたいと思ったら、
すぐにでも受けられると思っている保護者も多いように思う。
しかし、現状は異なる。
(自治体にもよるし、緊急を要する場合もあるかもしれない。)
多くの場合は、保護者からの申請(体験・見学後)、学校での会議、自治体での会議などの過程があり、
自治体によるが5月ごろ自治体に申請をして、早くて2学期からとなる。
支援級や支援学校となれば、児童数や教員数に限りがあるため、申請しても来年度まで空きがないなどとなる場合も多くある。
それゆえ、特別支援を受けたいとなった場合は、先のことを考えて早めに動いた方が良い。
子どもの困り感が強くなったからではすぐに対応が難しい場合が多い。
親が悩む理由
古い特別支援に対する考え方
自分の子ども時代に受けた教育がその人に大きな影響を与えることは少なくない。
例えば、「忍耐強く勉強すれば、必ずできるようになる」、「学校に行かないのは甘えだ」などといったことだ。
また、保護者の思いに反対するつもりはないが、保護者の中に(世の中的になのかもしれないが)、
まだまだ特別支援に対する否定的な印象をもつ方も少なくない。
しかし、人それぞれ得意不得意があるように学習はできないが、芸術的な才能がある、人付き合いが苦手だが、勉強ができるなど一人一人には特性がある。
その特性を理解し、特性に寄り添いながら、長所を伸ばしていった方が良いように思う。
まだまだ日本は、世界的にはインクルーシブ教育に課題があるかもしれないが、
親世代が子どもの頃の特別支援とは違う。
子どもの思いに寄り添いすぎて
子どもの中には、グレーゾーンにいる子もいる。
そもそも子どもの発達もばらばらだ。
それゆえ、目安はありつつも、「この子は支援学級だ」などといった基準ははっきりとはない。
そういったグレーゾーンにいる子をもつ保護者は判断が難しい。
もちろん、子どもがすごく嫌がっている、二次障害がでてしまっている状態では強制はできないが、
「学級での困り感はあまりなさそう。もう少し学級での様子を見ていこう」
「本人の気持ちが…」と、本人の様子や思いに寄り添いすぎてしまい、
小学校高学年、中学生ということもある。
そのため、医療機関を含め、様々な方の視点から子どもの実態を考え、ある程度は親の判断で決めてしまうことがいいように個人的には考える。
どういう進路がいいのか悩むのは自分の子であれば当然だと思う。どこをその子の目標にするか、将来のゴールを考えながら、決めていくしかない。
また、はじめは抵抗を示していても、徐々に環境に慣れて笑顔いっぱいで過ごしている児童を多く見てきている。
後は公教育で特別支援を利用するか、もしくは保護者の責任のもとその他の方法を検討するしかないように思う。
その他の方法とは、
子どもの実態にあった自由度のある学校を選択するか、
ホームスクーリングなど家庭での教育を重視するかなどがあるだろろう。
どちらがいいとかはないが、その他の方法は現状保護者が負担する時間あるいはお金が必要になる。
今からできること
これが正解といった答えは一つではない。
教育はどうしてもすぐにはわかりやすい結果として出てこない。
テストなどでは習熟度がわかるが、一つのものさしでは測れないことの方が多いからだ。
なので、子どもの様子、保護者(特に小さいうち)の判断で決めていくしかない。
学校関係者などは様々なことを紹介したりアドバイスをしたりはできる。
上述の通り、多くの視点を持って、子どもに合った支援を考えていく必要がある。
以下では、
特別支援に関する各種機関(自治体によって少し分類分けがことなるかもしれない、自分の自治体に聞くのが一番正確。)について解説していく。
まずはどんなところなのか、どんなことができるのかを知ることから始めていくことが大切だと考える。
特別支援学校
学校教育法第72条において、
特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対 して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図 るために必要な知識技能を授けることを目的とする
とされている。
目や耳など身体的な困難さをもつ子や知的に遅れが見られ対人や生活面で課題をもつ子、継続的な医療的な支援を必要とする子が対象となる。
小学部から高等部まであるが、通常の小学校等とは別の場所に作られている。通常の小学校等との交流もある。
特別支援学級
小学校や中学校内にある、「知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者」を対象とする学級。
固定級と呼ばれ、学校によって〇〇学級とされていることもある。
通級指導教室、特別支援教室
小学校、中学校、高等学校等において、通常の学級に在籍し、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする児童生徒に対して、障害に応じた特別の指導を行う指導形態。
学籍は通常学級。週に何時間か通常学級を抜けて他の教室で指導を受ける。
「言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者、学習障害者、注意欠陥多動性障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者」を対象としている。
自閉症者や注意欠陥多動性障害者など発達障害をもつもしくはグレーゾーンの子などが割合としては多い。
「幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の 特別支援教育について」
「特別支援教育の現状」
療育センター
作業療法(OT)や言語聴覚療法(ST)などを通して、
バランス感覚、手先の動かし方など上手な身体の動かし方を学んだり、話す、聞く、読む、書くなどコミュニケーションについて学習したりする場所。
発達支援センターなどと呼ばれることもある。
放課後等デイサービス
放ディなどと略されて言わることもある6歳からを対象とした福祉サービス。
未就学児童は「児童発達支援」。発達に課題や特性ををもつ子が通うことができる。
通級指導教室や療育でも行われている身体や言語に関する指導や各種体験・交流活動が行われている。
終わりに
繰り返しになるが、自分の子どものことで悩まない親はいないと思う。
僕自身は特別支援の関係者として、自分の子の場合は早めに各種の特別な支援を選択していきたいと考えている。
しかし、これもまた一つの考え方なので、絶対ではないし、強制はできないと思っている。
色々な方の視点を参考にしながら、
子どものことを一番に考えて対応していくしかない。
どんな方法であっても、
子どものことを考えて対応していくことが、
その子の成長にとって一番の要因になっていくと思う。