この記事では、通級という学校教育のシステムについて知ってもらおうと思っている。
「通級の対象となる子どもはどんな子なのか」
「どんな指導をするのか」
について知りたい方、ぜひ読んで見てほしい。
学校教育関係者ならば当たり前の内容かもしれないが、子育てをする親として知っていて損はないと個人的に思う。
そもそも通級とは
そもそも通級とはなにか。
知らない人にとってはそこからだと思う。
通級と聞くと、どこか他の場所に通って、学習する学級と考えるかもしれない。
あながち間違いではないが、自治体によっては通わなくてもよい。
少し前までは、週に1日程度、子どもが所属する学級での学習から抜けて、通級がある学校へ通うことがほとんどであった。
しかし、例えば東京都の小学校には全校に通級があり、子どもが通いに行くのではなく、教員がそれぞれの子が通う学校に出向いて指導するようになっている。
ただ、学習のイメージとしては、週に一日1〜2時間だけ、それぞれの子が所属する学級を離れて、勉強することだと考えてよい。
よく間違えられるのは、「知的に低い子が行くところ」、「もしくは身体的なハンデを持っている子が行くところ」だという言うことだ。
しかし、似通う部分もあるが、実際は違う。
ではどんな子が対象となるのか。
国から出ている「学校教育法施行規則」の第140条によると、
小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校において、次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、第五十条第一項、第五十一条、第五十二条、第五十二条の三、第七十二条、第七十三条、第七十四条、第七十四条の三、第七十六条、第七十九条の五、第八十三条及び第八十四条並びに第百七条の規定にかかわらず、特別の教育課程によることができる。
一 言語障害者
二 自閉症者
三 情緒障害者
四 弱視者
五 難聴者
六 学習障害者
七 注意欠陥多動性障害者
八 その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの
前半部分は、様々な規定が書かれているのでわかりにくいかもしれないが、
つまりは、一から八まで書かれている者が対象となる。
障害と記されているものもあるが、子どもの特性というかタイプと考えたほうがよい。
一の言語障害者は、言葉の部分で課題があり、コミュニケーションがうまくできない子といったところだろう。
きく・はなすに特化した「きこえとことば」(東京都)という支援のシステムがある。
二の自閉症者は、ASDやアスペルガー障害といった言い方でも聞いたことがあるかもしれないが、字の通り、自分の世界に閉じてしまい、周囲とのコミュニケーションに課題が見られる子。
三の情緒障害者は、感情のコントロールに課題がある子。
四や五の弱視者、難聴者は学級での学習や生活を送る上で支援が必要な子。
障害者手帳を持っていたり、自分のことが自分でできない重度の症状を持った子は通級だけでは支援は難しい。
六の学習障害者は、LDということもあるが、知的には標準でも、読み、書き、計算などあることに困難さを持っている子。
七の注意欠陥多動性障害者は、メディアでADHDという言い方で聞いたことがあるかもしれない。主に衝動性や多動性が見られる子。
八のその他の障害のある者のなかには、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者が含まれるが、重度の症状の場合は四や五同様、通級だけでは支援は難しい。
ここまで、一から八について書いた。
以上のような子たちに個別な支援をすることで学校での学習や生活をより楽しく仲良く送れるようにしていく場が通級での指導になる。
どんな学習をするか
では、どんな指導をするのか。
通級での指導は自立活動と言われ、それぞれの子の課題や良さに合ったオーダーメイドな指導を行う。基本的には学級でする教科の学習はしない。
例えば、書字が苦手な子に対して筆順や時の構成を確認したり、状況把握や他者の気持ちを考えるソーシャルスキルを身に付けたり、一人一人に合わせた様々な指導を行う。
通級に通うには
自治体によって、入級までの流れが違うことがあるので、まずは各自治体の学校教育を担当する課に聞いてみることが大事である。
提出書類やウィスクなどの検査結果が必要になるので早めに動くことがお勧め。
次年度初めから利用したいのであれば、夏休みあたり、最低でも半年前くらい前には準備を始めておくと良いと思う。
書類の提出期限、面談や判定会議の日が決まっているので注意が必要だ。
提出書類の提出や面談、判定会議などの過程を経て、決定する流れに多くの自治体でなっている。
以上、通級という場について、どんな子が対象となるのか、どんなことをするのかについて概略を書いた。参考になったら幸いだ。